映画『探偵マーロウ』(見に行ったのは6月25日じゃないか!)
冒頭、舞台は1939年と出る
挿入歌に、I'll be seeing you
声は絶対にBillie Holiday
でも、この曲
個人的にはビンクロ・イメージ
ビンクロのヒットは戦時中のはず
「会えない」理由をそう捉えると
時代に求められた曲になる
時代考証、疑問だな
なんてことを考えながら見てしまう
素直に楽しめば良いものを
そんな流れでビリーのCD
でも、買ったのは高校時代
30年以上経っている計算
ビリーの歌は、高校生には理解不能だったなぁ
スッと聴けるようになったのは、40超えた辺りか
聞き手はそんなでも
歌うビリーは、この時23歳
強いられた状況なのか
そんな時代だっただけでは済まされない
アルバムタイトルにもなっている奇妙な果実
彼女の代名詞的な一曲が収められている
これから聞き始めるべきなんだと選択
これから始めるにはハードルが高すぎたか
① strange fruits
この曲はビリーの思いがこもったもの
グリニッジビレッジにあるカフェ・ソサイエティで歌って喝采を得るも
歌詞から大会社コロンビアのジョン・ハモンドが二の足を踏む
だけど、許可を得ることでカフェの近くにあったマイナーレーベル
コモドアで1939年に録音
この1曲のためのレーベル・チェンジ
吹き込み始めは、勿論この曲
歌が始まるのは、1分10秒を超えてから
ステージのビリーはイントロが流れている間、
目を閉じて、奇妙な果実を表していたとも
♪ Thousand trees と1本だけじゃない木々にぶら下がる果実
作者ルイス・アランは、シナトラのヒット曲も作ったとあるが、
他の曲は不明
② yesterdays
2コーラス目でテンポアップするも
1コーラス目のゆっくりした(今聞くと、深遠な)
この感じが、若い頃は苦手だったんだなぁ
③ fine and mellow
ビリー本人の作詞作曲
この曲も若い頃には「まったり」と苦手
④ I got a right to sing the blues
イントロからトランペットが大活躍
若い時はやっぱり、こんな賑やかなジャズが好み
これはこれで、今聞いてもやっぱりイイ
ここまでの4曲が1939年のセッション
次のコモドア録音までは5年開く
⑤ how am I to know
この曲もマッタリ
スロー・バラードは苦手
いつの頃からか、良いなと思うようになる
我ながらオモシロイ
⑥ My old f lame
オリジナルのメイ・ウエスト盤はここで聴ける
⑦ i'll get by
スインギーな曲調なら何歳でも楽しめる
コロンビアにも録音している(次の曲も)
⑧ Cover the waterfront
邦題「水辺にたたずみ」
⑨ I'll be seeing you
ここからの4曲はギターレス
他のメンバーは同じ
⑪ エンブレイサブル・ユー
止まってしまいそうな位のスローテンポ
流れていくビリーの声に耳がいく
マンハッタン・トランスファーのコンサート
アンコール曲がコレ
あまりにも素敵で、これ以上要らないと思った記憶があるほどの
美しい1曲
⑫ 録音は、『カサブランカ』後
でも、映画とは違う。ビリーはあくまでビリー
⑭ lover come back to me
オスカー・ハマースタインがシグムント・ロンバーグと組んだ
ミュージカル『The newmoon』の1曲
「朝日のごとくさわやかに」も、このミュージカルから
⑯ On the Sunnyside of the Street
サッチモとも違う
だけど、底抜けに明るい「明るい表通りで」
このCD、歌詞がついていないこともあって
あんまり聞いていないような記憶だったけど
聞き返すと甦ってくるなぁ
やっぱり手持ちのCDが少ないと、ひたすら聞いていたのか
大和明氏の詳細なライナーがフィジカルの価値を高めているものの
今となっては、この字は小さい
1987/01/12 加古川ミヤコ(3,200円)